青年僧のお話

【十日十夜 別時念仏会】

秋も深まり、朝夕は冷え込むようになってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

「阿弥陀仏と 十声唱えて まどろまん 長き眠と なりもこそすれ」
(ナムアミダブツとお十念を唱えてまどろむのがよい 永遠の眠りになるかもしれないので)

老少不定は世の習いです。何時どこで、どんな事が起こっても、あわてないように平素よりお念仏に励みましょう。
そして夜眠る前には必ず、南無阿弥陀仏と十遍のお念仏をして眠りにつきましょう。
たとえそのまま長い眠りになっても、悔いのないように致しましょう。
これはお念仏を信じる人たちのたしなみであります。
法然上人が詠まれたお歌です。

さて、10月になりますと、十夜法要という法要がひろく浄土宗寺院で開かれます。
現在では一日一夜、数時間の法要が多いようですが、本来は阿弥陀様の本願を信じ、阿弥陀様のお慈悲にすがり、十日間に渡りお念仏を修する法要です。

この法要は浄土宗の最も大切な経典の一つ「無量寿経」の下巻で「この世で十日十夜善いことをすれば、仏の国で千年善いことをするよりも勝る」という教えを実践したものです。

秋といえば一年を通して過ごしやすい時期で、一つの事に取り組める季節であり、一般的には行楽の秋・読書の秋・スポーツの秋・食欲の秋といいますが、やはり浄土宗にとって一番大事なのは「お念仏の秋」ではないでしょうか。

昨今の世界情勢は、一寸先は闇であります。全くもって、いつ死が訪れるかわかりません。
日本人の平均寿命は男性が約80歳、女性が約87歳と言われていますが、死というものはいつやってくるかわかりません。
その為にも慌てないよう、悔いのないようにお念仏を平素より唱えることが大事だと思います。
法然上人は「行住坐臥に時節の久近を問わない」いついかなる時であっても、時間の長い短いにかかわらずお念仏を唱えるのが往生のためになると言われました。
また、浄土宗の二祖、弁長上人は「念死念仏」という事を言われました。
眠りにつくごとに、今日が臨終であるという思いでお念仏をせよ、ということでしょう。

法然上人のように日々6万遍7万遍のお念仏は無理かもしれませんが、時々「別時のお念仏」をさせていただく事は本当にありがたいことですし、信仰心がわき出てくるのを感じられると思います。

合 掌

(第二組 大和郡山市 善福寺 平野順彰)