青年僧のお話

私が副住職を務めているお寺の門前のお宅に毎日お念仏を称えている方がおられます。数年前に授戒会を受けられてから毎朝、毎夕ほぼ決まった時間帯に木魚の音が聞こえてきます。
月参りの時に、毎日木魚の音が聞こえてきますねと伝えると、授戒会でご本尊様と約束したので称えていますとおっしゃいます。

10月、11月は浄土宗の各寺院で授戒会や五重相伝会が開筵される時期です。授戒会や五重相伝会の儀式の中でご本尊様、つまり阿弥陀如来様の御前で毎日何回以上お念仏を称えることを誓います。その方はその日以来怠ることなく継続されています。

法然上人のお言葉の中に、

毎日の所作に、六万十万の数遍を念珠を繰りて申し候わんと、二万三万を念珠をたしかに一つずつ申し候わんと、いずれかよく候べき。
答う。凡夫のならい、二万三万をあつとも如法にはかないがたからん。ただ数遍の多からんには過ぐべからず。名号を相続せんためなり。必ずしも数を要とするにはあらず。ただ常に念仏せんがためなり。数を定めぬは懈怠の因縁なれば、数遍を勧むるにて候。
とあります。

ある人と法然上人の問答の一つです。法然上人は、お念仏の回数が多いに越したことはありませんが、必ずしも回数が重要なのではありません。ただ常にお念仏するためです。回数を定めないのは怠けるもとになるので定めることを勧めるのですと答えておられます。

回数が重要なのではなく常にお念仏を称えるため。怠けないように回数を定めて日々続けるとそれが常にお念仏を称えることになっていきます。
別の日にその方のお宅へ月参りに伺うと、本堂から和尚さんが木魚を鳴らしている音も聞こえますよとおっしゃって下さいました。檀信徒の方々と共に励まし合いながらお念仏を称えていければと思っています。

合 掌

(第六組 高取町 如来寺 的場裕信)